@歌唱の戦士・当日歌合せ

以下はフィクションです。
あくまで、大絢爛舞踏祭の二次創作作品として
お楽しみ下さい。


/*/



そいつは満足そうな表情で、帰還した。

“ただいま、今日は幸せだった。幸せな半日だったよ”

そして、私と混じった。


/**/

第二世界をてくてく歩く。

今から全体練習。歌合せだ。

自前の愛楽器の調弦するもの。
発声練習で、義体での喉の調整をするもの。
舞踏を見せ合うもの。
ペンギン小隊長が見られるというので、登場を楽しみにしているもの。
希望の娘のリボンでも見えないかな~、とかミーハー丸出しにしていたりするもの。
沢山の歌唱の戦士達が様々に時間を潰していた。

そんなプレイヤーの中を、南天歌は歩いている。

ここが第二世界なんだ。
やっと、私も戦えるんだね。

武者震いしている南天歌の隣に、もう一人震える舞踏子。
顔を覆う手から何か滴っている……滴っている?

「あの、ちょっと…平気?」

もう一人の舞踏子は、ふぁひと情けない返事をして顔を上げた。

鼻血を垂らしている。
それを見た南天歌、半歩下がる。ドン引き。


「ええと、平気…?」
「ふぇいき、ひひゃ、ちょっほ…」

ぶひーと鼻をかむ。鼻血は出し終わったらしい、便利な義体だな。


「ちょっと…あの小太刀大隊長と一緒の作戦やっているかと思うと、鼻血が」


胸に拳を当てて、やや陶酔しながら語る。
南天歌、更に引く。引きまくる。
いや、エースを敬愛する気持ちは分かるが…分かるが、オイ。マジ鼻血ってオイ。

すると背後から勢い良く数名が挙手。

「はい、私是空さん!」
「私、あぁん加納中隊長!」
「あ!私海法さんッ!」
「オレ!オレは都さん!」

……誰を助けに行くんですか、あんた達ってば。
ターニが間近にいる、しかも戦ってるっつーのは完全無視ッスか。

エース守護妖精の一団は円陣を組んで気合を入れている。
濃いな、と思いながらも顔が笑う。

ああ、今日来られて良かった。
こんなバカ共と半日でも一緒にいられるなんて、そうそう無い。
今日、私の姉妹は来られなかったけど、話してやろう
こんな幸せな日のこと。

そんなざわつきが一瞬止んだ。
我等が歌唱部隊の小隊長殿だ。
ホントにペンギンだ…燕尾服着たペンギンがタクトと楽譜を持ってヨチヨチ歩いて来る。

その可愛さに、ぎゅーんと士気が上昇した。

台に上れずに足…いやこの際あんよを上下に空しく動かしている。焦っている。

ぎゅーん!ぎゅーん!

見かねたどんぐり小隊長が翼の下に手を入れて乗せてやる、それもぎゅーん&ほわ~ん。

小隊長付きの補佐官が、こほん・ごほんと咳払いしている。
少しだけ真面目な雰囲気に戻った。

「諸君、全体練習の前に…今日まで昼夜問わず戦い続けたエース、並びにその介添え…そして何より見事レクスを滅ぼし、カウンターアタックの未来を引き寄せた、新たにして偉大なエース…是空とおる氏に…敬礼ッ!」

腕を上げる音…沈黙・振り下ろす音。

心はひとつになった。

いや、もう随分前からひとつだった。あの、正義最後の砦にこのゴーストを飛ばした時から。



わが身、武力なけれども…この心は刃なりき
銀の色した刃なり。

わが力、微力なれど…言の葉、青き力得て
深淵眩く照らし、戦士の道行支えるなり。

この、言葉、みなに届けや
この、希望、世界に響けや

歌唱の戦士たちの瞳が青く輝く。闇夜を照らす様に、仄明い月光のように。
丸く、淡く…されど光はそこにある。


心がひとつ、ならば謡う謡もひとつ

ペンギン小隊長のタクトが振りあがる

全員が深いブレス、吸っているのに清廉な風が吹いた。
空気が変わる。


『大絢爛舞踏祭』


世界を廻れ、季節のように、この希望よ。
春の謡よ。



/**/


満足か。ああそれなら良かった。私も満足だよ、兄弟。
ならばやっと、私も眠りに落ちるとしよう。
有難うを沢山言いながら。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック